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羅漢とは? 五百羅漢と十六羅漢、キャンプスキー場やmy羅漢像などの意味

羅漢(阿羅漢)とは?

羅漢とは、仏教を悟り切った聖者レベルの修行僧を意味します。羅漢は正確には阿羅漢と称します。

至高の存在を指す【阿羅(arh/アラ)】という部分が重要なので、その【阿】を端折って羅漢と呼ぶのは、1文字といえ、かなりの略称になります。

仏教で崇める多くの像、例えば手が沢山生えている阿修羅像と、羅漢像の違いは――阿修羅等の偶像は架空の神々を具現化したのに対し、羅漢像は現実に仏法を極めて阿羅漢の地位を得た修行僧たちの【理想像】を彫像したもの――である点です。

ハリウッド俳優のジェットリーがリーリンチェンと名乗っていた頃の【阿羅漢(アラハン)】という映画では、阿羅漢を志す若い僧たちが滝行など阿羅漢修行をする姿が描かれています。

五百羅漢駅―小田原玉宝寺

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妻の実家の小田原市には、JR・小田急小田原駅から箱根の温泉街へ向かう「伊豆箱根鉄道大雄山線」という鉄道路線があります。
五百羅漢駅】は、その途中駅です。
五百羅漢駅の駅名の由来は、この近辺に五百羅漢像で有名な天桂山玉宝寺があるためです。

五百羅漢駅は、鎌倉や新井薬師といった【門前駅】みたいに、駅から寺までが参道として観光化されているわけではありません。
というより、五百羅漢駅から玉宝寺までの間には土産物屋ひとつありません。

五百羅漢駅の改札の前は、土建屋のプレハブ事務所+ダンプの青空駐車場並みに舗装されてない殺風景な空き地といった感じです。
大雄山線の停車駅には無人駅もあるので、五百羅漢駅は駅員さんが改札にいるだけ賑やかなほうです。

羅漢寺である玉宝寺に行くには、五百羅漢駅を降りて目の前の神奈川県道を小田原方面に戻る形になります。
(歩く気があれば、同じ小田原市内なので、小田原駅から徒歩4~50分位で行けます)

この寺の五百羅漢像がとてもカオスで、大小さまざまな羅漢像が五百数十体、整然と並べられている様は秀逸で、もっと観光の目玉になっていいんじゃないか?と思える隠れスポットです。
(いつ行っても、観光客らしき人がいなくて勿体ない)

my羅漢像サービス・満福寺

玉宝寺の五百羅漢は500+数十体あります。
どこの寺の五百羅漢像もトータル500体キッチリでないことが多いです。
玉宝寺とは逆に、現在400と数十体しか羅漢像がない羅漢寺もあります。

福島県の小野町にある東堂山満福寺は
――誰でもお金を払えば石材屋に彫像させ、自分そっくりの羅漢や好きなデザインの羅漢像を作って、寺の所有する山の斜面に五百羅漢の1つとして置ける――
【my羅漢・自分羅漢】サービスをやっています。

現在、四百数十体の風変わりな羅漢像たちが満福寺の山の斜面に置かれています。
金を払えば、そこに自分の【my羅漢】を置けるわけで、ちょっと楽しそうです。

いくら金を払うのかは、医師のサイズと羅漢像のデザインの複雑さによるのでしょう。
もちろん、羅漢像の持込は禁止のようです。
寺というより、石材屋のベンチャー石材ビジネスといったところでしょうか。

五百羅漢と十六羅漢の違い

五百羅漢の五百の起源は、仏陀の教えをまとめた初めての仏典編集に集まった阿羅漢の数が500人だったから、ということのようです。
五百羅漢よりも仏教界的に高い位置にいるのが【十六羅漢】です。

十六羅漢は五百羅漢より先に仏法を護り広めることを誓った高僧たちです。
十六羅漢像はその画が東京国立博物館やアメリカのボストン美術館伊藤若冲作)に所蔵されています。

十六羅漢は、それぞれの羅漢が自分の一族郎党として平均1,000人の阿羅漢を従えており、当時、少なくとも16,000人規模の阿羅漢集団がいたわけです。
人口の少なかった大昔にそれだけの阿羅漢がいたということは、人口×職業に占める割合で、阿羅漢職?の人のシェアはかなり高かったといえます。

大昔の16,000人から子孫が複利で増加していったと考えると、東洋人の何人かに1人は阿羅漢の末裔かもしれません。
その点では、自分を阿羅漢に見立てる福島小野町の満福寺のmy羅漢像サービスは的を射た発想といえます。

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自然信仰としての羅漢の意味

五百羅漢像で一番有名なのは、東京都目黒区の【五百羅漢寺】ですが、他に関東だけでも港区増上寺の五百羅漢図や千葉の成田山新勝寺、埼玉の喜多院少林寺、そして小田原の隣の箱根町長安寺などに、それぞれ独自の五百羅漢像があります。

羅漢とは、悟りを得た修行僧として敬うべき存在なので、日本では山や大きな岩など自然物を羅漢と名づけ、羅漢山とか羅漢岩とかいって、崇める対象としています。

スキーやキャンプ場として知られる、広島県恐羅漢山(おそらかんやま)はその典型です。

【恐羅漢=羅漢のように恐れ崇める存在】として、恐羅漢山と名づけられました。

と言っても、あくまで自然信仰の対象としての敬意を持って恐れる対象であり、恐羅漢山で恐ろしい災害があったとか、怖い話や霊的な存在があるとかではありません。

今は辺り一体、恐羅漢スキーパーク、恐羅漢エコロジーキャンプ場といった羅漢を冠し自然をテーマとした一大レジャーエリアになっています。