横浜市の欠陥マンションと行政訴訟、建て替え円滑化法
建替えを求める行政訴訟。
横浜市内の欠陥マンション事件
神奈川県内では住友不動産が分譲販売した高級マンション、パークスクエア三ツ沢公園(横浜市西区宮ケ谷)が「危険性が高い瑕疵のある欠陥マンション」として、昨年から大々的に報じられていました。
大都市横浜の中心地で、横浜駅からも近いわりに近所に三ツ沢公園などコミュニティスペースもあって、最高に便利な生活環境ですから、買ったマンションが欠陥だと知った住民の落胆はいいようがないでしょう。
欠陥マンションを買った住民の方が建設会社などを相手に建替えを要求し、さらにマンションの所在地である自治体に対し「建設会社に建替えを命じてくれ」と行政訴訟を起こす自己救済の方法もあります。
横浜のマンションの多くは容積率で建て替えが余裕
ところで同じ欠陥マンションの建て替えでも、10年位前の耐震偽装問題の時の物件とは状況が異なります。
当時問題となってたヒューザーの建築したマンションは、容積率が目一杯で建替え円滑化法を使っても、「住戸」が増やせない。でも住友不動産さんの物件だったら住戸を倍にできる?かもしれない。
住戸を倍にできると建替え円滑化法により建替え組合を組織して等価交換などのスキームを使えば、元からの区分所有者は新しく立て直した物件を新規購入せずにすむから元もとの住宅ローンだけ払ってれば充分。
建て替えるほうが増戸できていいかも?
ヒューザーさんの場合は、ベンチャー企業として容積率でも無理しちゃって、建替えで新しい需要を生み出せないけど、もともと余裕を持った敷地面積の大手企業物件は建替えの度に住戸を増やすことに成功しています。
ヘーベルハウスの旭化成ホームズが建替え組合に参加した、東京都新宿区の諏訪町住宅では建替え前の60戸から建替え後には96戸へ増戸。三井不動産が検討委員会に参加した九州の建替え事業は40戸から90戸に増戸してます。
横浜市内には大規模マンションがいっぱい
横浜市内は谷戸地域といって、市域全体が丘陵地帯と谷地・傾斜地の凹凸の中に超近代として成長してきたエリアです。瀬谷区・保土ヶ谷区など、まさに「谷地」であり、住友さんの物件のある「三沢」も沢地跡。
今は横浜市営地下鉄が縦横に区内に交通網を敷き、近代化の象徴となっている都筑区も昔は農地でした。そういった場所に立つ大型重量マンションですから、この先も同じことが起きるでしょう。
横浜市内には、東京建物のブリリアシティ横浜磯子(磯子区)、三井不動産のパークシティLaLa横浜(都筑区)、東急が施工した県内最大のレイディアントシティ横濱カルチェ(金沢区)など大型物件があります。
これらの物件は、敷地面積も余裕で贅沢に設けてありますから、贅沢部分を潰せば建て替えごとに増戸できます。
建替えで元からの区分所有者は不安を抱える
といっても、元からの区分所有者としたら、上下水道の負担やゴミ収集などで未計算の支出が増える可能性もあるし、建替えとなった時の〈不公平〉問題があります。
つまり、最上階と下層階では1千万円以上の購入価格の差があるのを再建築の〈持分〉として《床面積で均等割り》されたら高額購入の人は大損。
なら売却して出て行く!・・・と思っても買取業者もこの《建て替え時の床面積計算》の不公平は知っていますから買叩かれることも必至。
憧れのマンションライフを夢見て高額な買い物をしたのに、訴訟準備に追われる日常なんて殺伐としています。そこら辺の心理的賠償も勝ち取って欲しいものです。