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建替え診断室

建替えか?リノベーション・リフォームか?神奈川~東京の中古住宅・査定事例を紹介!

雨戸の取付け改修工事―和式引き戸と洋式ドアの精神文化の違い

無料相談

分譲マンションのリフォームと共用部分の管理規約

リフォーム相談などで、分譲マンションの所有者さんから「雨戸つけられますか?」と聞かれることが良くあります。

マンションは各戸が個人の購入した所有物であっても、室外は共用部分という考え方があり、管理規約に縛られます。

管理規約 - Wikipedia

雨戸の取り付けリフォーム工事しても、契約違反で取り外さなければなりませんよと、まず契約確認をお願いしています。

一戸建て住宅の雨戸取付け改修工事の相談

雨戸 - Wikipedia

ところで、一戸建て住宅の所有者さんからも「雨戸取付け工事できます?」と相談を受けることがあります。

横浜市内だと磯子港北区などの新興住宅地のオシャレな家は、全部じゃないけど雨戸無しの窓があることがあります。

これは2階部分が多いのですが、デザイン性のカッコ悪さから雨戸の「戸袋」を敬遠して、雨戸無しで新築されるかたが多いんです。

設計プランの段階で、建築士さんとの相談のさいに雨戸無しのシンプルでスッキリした概観を選択する人が増えています。

デザイナーズモデルハウスみたいなカッコいい家です。

でも、じっさい住み始めると、機能性よりデザイン重視したことを後悔される一戸建て所有者さんは多いです。

「なんだか雨戸あった方が、雨音も強い陽射しも寒気も遮ってくれるんじゃないかな・・・」って。

オシャレで高級住宅街ほど。

ちなみに後から雨戸の取付け改修工事することは、そう難しくなく、外観デザインを損ねるようなこともありません。

窓から建築を考える

雨戸と戸袋は日本特有の建築構造

雨戸は日本特有の建築構造物です。

西欧諸国はともかく隣の韓国や中国にはありそうなものですが、雨戸ってないんです、日本以外。

これは、想像ですが、日本住宅の「戸」部分が「引き戸」という構造になっているのが原因してるんじゃないかと思います。

日本で雨戸という建具が開発されていったのは、武家社会になって書院造りという建築様式になってからだそうです。

それまでは蔀戸(しとみど)という跳ね上げ式。もちろん、ガラス窓の文化が入ってくるまでは、障子と雨戸または遣り戸の組合せでした。

http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/c/ce/Shitoni-do01.JPG

(蔀戸)

洋式の窓の場合、鎧戸(錣戸・がらり戸とも言う)と言って、ブラインド状に板を組合せた戸を、開閉式に取り付けるのが一般的。

http://upload.wikimedia.org/wikipedia/commons/8/83/Porto_Covo_July_2012-2.jpg

(鎧戸―よろいど)

これの場合、鎧戸を開けている時は、「洋風建築だから」カッコよく見えるだけで、戸の収まりはけっこう悪いです。

和風建築に慣れきっているからか、ガラスじゃない部分は戸袋に仕舞って見えなくしておきたい。

窓から読みとく近代建築

和式建築の引き戸と洋式ドアは防犯意識と精神性の違い

日本でも雨戸が庶民に広がったのは江戸時代以降で、それまでの「窓構造」は、まんが日本昔話で見たような跳ね上げ扉をつっかい棒で支えるもの。

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まんが日本昔話に出てくる庶民の家はみんなこんなもんで、玄関も引き戸につっかえ棒。

つっかえ棒が唯一の防犯手段であった和風建築の「引き戸」というのも他国に類を見ない建具だそうです。

もちろん、日本でも寺社や屋敷の門扉は頑強な観音開きでしたし、外国の建物にも「引き戸」は一部存在します。

しかし、外国の建築物は一般家庭でも過剰に防犯意識が高い。玄関の二重扉はザラだし、ドアは「内開き」です。

あくまで立て篭もるか、潔く戦うか

内開きの理由は戦争時などドアにソファ・机などありったけ家具を立てかけておけば、外からの攻撃に最後まで抵抗できるからだそう。

外開きだとドアをこじ開けられる。洋画なんかだと、大体、沢山の敵から逃げ立て篭もるシーン、内開きだからこそです。

バイオハザードなんかでも無数のアンデッドから逃れるため、個室に立て篭もってドアに家具の重石をしてます。

どっちみちゾンビ相手だと天井や床を突き破って襲撃されちゃいますが。ともかく、内開きの理由はほんとに「敵からの攻撃に抵抗するため」だからだそうです。

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その点、日本人はイサギがよいというか、戦う集団である武士の屋敷でさえ、敷地外とは高い塀と堅牢な「外開きの門扉」で武装しているものの建物内は「フスマ」です。

これは、いったん戦いの場面になれば、逃げ回らず潔く戦うという、武士とかの精神性からくるものかなとか思います。

ふすまなんて軽量な木材と「紙」で出来てますから、いざという時、盾にも使えません。

しかしこの引き戸や紙製建具(ふすまや障子)の文化が今や他国から尊敬と研究の対象になっているわけで大したものです。

横浜市のオシャレ地域、また武蔵小杉や溝の口のブランド戦略で高級住宅街化している川崎市なんかで新築や建替えを考えている人たちは今だ増加中。

ぜひ引き戸の象徴ともいえる雨戸と戸袋の合理性と便利さを認識して、目先のデザイン性に惑わされずに全窓に装備するようしてもらいたいものです。

本当に、後から、雨戸取り付け改修工事を相談にこられるかたというのは「多い」ですから。

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建築の神はディテールに宿る

ちなみに普通にイメージされる雨戸と戸袋は、アルミの雨戸にアルミか合板の戸袋、申し訳程度の天板が戸袋の小屋根になっているくらいだと思います。

しかし、ちょっとお金をかけると戸袋の屋根を反り屋根造りといった凝った和風建築スタイルにできたりします。

最新版 納まり詳細図集 和風住宅・茶室編 (ディテールシリーズ2)

戸袋の表面は、「鏡面」といいますが、ここを「ささら子吹寄せ」という高級格子にしたり、数奇屋風の網代張りにしたり、けっこうバリエーションがあります。

バブル末期に儲けてた空間演出デザイナーの人が、建築の神だか?デザインの神?はディティールに宿る?・・・みたいな本(写真集?)を、昔、出版してました。

(?たしか泉麻人とかいとうせいこうみたいなサブカル親父とトゥナイトとか11PMなどの深夜番組に出てた人!?)

当時ありがたく買ったその本はタイトルさえ定かじゃないです(著者名もめっきり忘れ)。

でも、細部に金をかけると全体が引き締まるのは「真理」です。

引き戸文化で生まれた戸袋が、洋風を元祖とした現代建築にそぐわない、そこをおしてオリジナリティな雨戸を作るとけっこう近所の目を引くかと思います。