イスラム建築の宗教的美学と建築基準法・都市計画法
トルコイスラム建築の幾何学性
海外旅行は結婚してからここ10年は行けてなく、最後に行ったのはトルコでした。
トルコ自体というか、イスラム建築の幾何学的な美しさに圧倒されました。
仏教寺院や神社では仏陀や神道の神々が仏像や壁画として、キリスト教会の大聖堂ではイエスの物語が天井画などで描かれています。
イスラム教では預言者ムハンマドを具象化する代わり、モスクの天井とか壁に宇宙を思わせる幾何学模様が壮大なスケールで描かれています。
スケールが壮大というか、緻密な計算で形作られた図形が延々と連続しているので、錯覚的に圧倒されるというか。
幾何学・左右対称の建築物と死生観
そういう幾何学模様が、街の至る所にタイルやレンガなどで描かれまくり、町全体が厳かな宗教デザイン画のような神秘性を感じます。
世田谷のインド料理屋でバイトしてたトルコ人の友人が、帰郷がてらトルコを案内してくれる旅行だったので、色々と教えて貰いました。
モスクをはじめ至る所にある幾何学模様は、モチーフである宇宙も星も花も「光」の輝きを意識し、その光が唯一神アッラーを感じる対象なのだそう。
幾何学模様もだけどイスラム建築物や庭園は(タージマハルなどは代表的ですが)、「左右対称」が大切だそうです。
その理由は、コーランに伝わる「天国」は、その限りない緑の園も、湧き出る泉も、あらゆる果実も、すべて対をなす2つづつだからだそう。
最後の審判で審査されるまで待機
仏教でもキリスト教でも天国と地獄があって死んだら直ぐにどっちかに行きます。イスラムの場合も天国楽園と地獄はありますが、すぐに振り分けられないそう。
最後の審判によって、初めて天国行きか地獄行きかの審査がされる。その最後の審判がくだるまでは、「待機」。
最後の審判で一気に、今までの人類全てが天国か地獄かの二択をされるらしいです。
それまでは遺体を傷つけぬよう白い布にくるみ、メッカのほうに顔を向けて右わき腹を下にして葬られます。お金持ちは霊廟などに。
(お釈迦さまの涅槃図も右側を下にした横臥だし、曼荼羅もけっこう幾何学的だし、通じるところがあるようで嬉しい感)
ともかく最後の審判までこの姿で待機する、最後の審判がくだったら、2つの対をなす楽園に導かれる、だから左右対称を大切にするそうです。
コーランの建築基準法と都市計画法
コーランの中のハディースという預言者ムハンマドの言行録の部分には、建築基準法とか都市計画法的なことが書かれているそうです。
住宅建築では女性のいる部屋は外の通りから覗かれぬ造りにせよ、礼拝所では女性用の礼拝スペースを男性の後ろに格子で囲んで他人に見えにくくしたり、2階を設けよ。
道路建設の幅は3.5m位にせよ、道路を挟んだ建物間の渡り廊下とか張り出し部分も3.5m以上にせよ。・・・みたいな記録があるようです。
ムスリムの女性たちがヒジャブと呼ばれるベールで頭を覆っているように、女性に貞淑さを求め守るような意味で、住宅建築の取決めを残しているそうです。
道路の幅と、頭上の構造物の高さが3.5mというのは、道幅がそれだけあれば、都市の中で荷物を積んだラクダ同士がぶつからずに行き交えるらしいです。
左右に荷物を積んだラクダの幅が、1.6~1.7m。それかける2という計算。
高さが3.5mといのは、ラクダに人が乗ると、大体、3.2mくらいの高さになるから、建物の構造物に頭をぶつけぬための配慮のようです。
馬にもラクダにも乗ったことがありますが、ラクダは馬よりもライディングポジションが高くて、けっこう怖いです。
オークラスパリゾートトルコ
ちなみに只今、本館を大建替え工事中のホテルオークラもトルコに進出するそうです。
でもなぜか?カッパドギアで「スパリゾートホテル」。ビジネス利用の多いイスタンブルや首都アンカラなら分るけど。
カッパドギア岩窟群はアナトリア高原一帯の岩山に迫害を逃れたキリスト教徒たちが掘った岩窟や「地下都市」が世界遺産登録されてます。
(ナウシカのモデルになった地下都市、今年も新発見されたそう)
石灰岩は加工しやすいので、岸壁をくり抜いた観光用の「洞窟ホテル」が世界遺産地帯を囲んで沢山あります。
オークラのスパリゾートは、隣街のムスタファパシャに建設中らしいです(2017年にオープンだから、もう建築着工してそう…)。
私は貧乏旅行者系なので格安ゲストハウス主流。海外旅行行ってもホテルオークラなんて敷居が高すぎです。
建替え中の赤坂虎ノ門の本館もロビーと喫茶店しか・・・金ないけどミエ張って打ち合わせする「喫茶店」としてしか使えない。
また海外旅行いっても、ゲストハウスかな。