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建築家=兵器開発者だった時代の投石器と現代の解体工事用「鉄球」クレーン車

大聖堂ものがたりを読んでいたら、「建築家=兵器開発者」というようなことが各所に書かれていました。

思えば別の本で、「レオナルドダヴィンチもミケランジェロも戦時中は戦車の設計とか軍事監督やってた」って書いてあったし、昔の建築家や画家は政権の中枢などに深く関わっていたのかも知れない。

この本の中には挿し絵付きで当時の建築物や遺構、設計図などが載っています。マリアーノ・タッコラ(正式にはMariano di Jacopo(ヤコブ))という、ダヴィンチより、ちょい前の芸術家であり兵器設計者であった人の「兵器設計図???」みたいな絵も載ってます。

芸術家っていうわりにメチャ絵が下手…というか、当時からヘタウマってジャンルあったのかなと思うような絵。

f:id:builders:20150625224006j:plain(タッコラさんの設計図)

f:id:builders:20150625224002j:plain(同じような設備でダヴィンチ』の図

で、このタコラさんの開発した「投石器」みたいのの絵が載っていました。振り子の原理で150キロもある石を150メートル飛ばせるというスグレモノ。

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絵はヘタウマだけど軍才はあったのだろう。

そういう大型のは、城砦を包囲して、外から巨石で中の建物を破壊する装置だったんじゃないかと思います。記述によれば「起重機」と呼ばれるその機械は古代ローマ時代からあったそう。

もちろん、動力は牛・馬・人手。最大の投石器は50人の人手で投石(1発づつ)したみたいです。兵士が集まって投石している所に敵がさらに投石してきたらどうするのだろう?と思ってしまいます。

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これらの絵というか設計図を見ていて、現代の解体用鉄球クレーンはこの流れを汲んでいるのかなと想像しました。

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話は飛びますが、現代の大都会で建築中の高層ビルやタワーマンションの最上階で忙しく働いているタワークレーン。清水建設の人にあの原理を聞いて感心しました。

あんなものどうやって超高層ビルの上まで運んだんだろ?といつも不思議でしたが、マストクライミング、フロアクライミング、という技術を使っているそうです。

f:id:builders:20150625224003j:plain(昔のクレーンの動力は牛・馬)

タワーマンションの場合は建築中の建物の足場を固めてマストという乗降器でクレーンをマストの最大上部まで持ち上げその位置に上階のフロアを作ってクレーンを固定し、クレーンでマストを引っ張りあげて、またマストでクレーンを持ち上げるの繰り返し。

超高層ビルの場合は、建設工事の鉄骨を利用して土台を階上に引き上げるそう。そして、階下に下ろすさいにはクレーンを解体して下ろし、その解体用クレーンと解体用クレーンをさらに解体するクレーンの親・子・孫クレーンで分解組立てを繰り返すそうです。

新幹線が50年走り続けて今まで「事故0」なのもすごいけど、日本の建設業界もよく今までクレーン落っことさずに頑張ったと思います。

(日本図学会) ルネサンス初期の前遠近法的作図法
―マリアーノ・タッコラの『技術論』における図的表現―

大聖堂ものがたり―聖なる建築物をつくった人々 (「知の再発見」双書)