建替え診断室

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解体ラッシュの号令 規制強化前に建築確認を取らねば!?

イヒ!CMが旭化成の理系&知的イメージUPに貢献してた

旭化成は、一昔前の化成の『化』をフィーチャーさせた「イヒ!CM」が功を奏して、理系意識の強い開発型の企業として学生さん達にも今でも人気です。

ヘーベルハウスもすごくイメージがいい。なのに今回のパークシティLaLa横浜の傾斜事件で、関連会社の旭化成宅建設さんも大変かもしれない。

旭化成ホームズと住宅建設ほか関連企業の位置関係がいまいち分らないけど)

旭化成住宅建設株式会社
ヘーベルハウス 旭化成ホームズ

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私の営業先のある横浜市内の高級住宅街でも、ヘーベルハウスの建て替えの解体工事が行われてました。

ブルーの防塵シートに鉄柵が張り巡らされ、近隣対策に充分ケアしているようです。

旭化成宅建設のヘーベルハウスパンフレット

工事現場の外枠には、通行人に向けた広告パンフレットが入っていました。1枚もらって読みました。

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ヘーベルハウスの商品住宅の宣伝。商品住宅のイメージイラストの下には、「阪神淡路大震災でも実証された耐火性能!」というキャッチコピー。

ああ、そういえば震災時に旭化成の住宅が無事だったっていうセールスポイントってネット上でも定番の〈賛美キーワード〉になってたな。

鬼怒川決壊の大洪水事件でもヘーベルハウスの白い家が凄すぎる」なんて、強固な構造技術をリスペクトする「NAVERまとめ」や2chスレッドが乱立してた。

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頑丈なのはヘーベルハウスだけじゃないはずなのに、あの災禍の最中、よくも住宅の安全性に目を向けて施工会社まで調べ上げる〈一般視聴者〉がいたもんです。

多摩丘陵上にある横浜市

多摩丘陵の東端であり稜線のうえに構成される横浜市において、都筑区は全域がほぼ丘陵地帯です。

ただし、パークシティララ横浜のある池辺町は昔からの住居域で地盤は安定しています。

丘陵地は、低地の谷地より水はけが良くて軟弱地盤になりにくい地です。

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ただ、斜面の途中にある宅地なので急傾斜の土地は〈土砂災害〉の危険性を孕んでいることがあります。

同じ丘陵の傾斜地でも都筑区のように頂上に近いところより、ふもとの方の区域の地盤は軟弱です。

素人目には、「低地のほうが傾斜がゆるいから、ボールが転がる速度が落ちるように土砂の落下もゆっくりになるだろう」と考えがちです。

しかし、斜面ではボールの速度は転がるほどに加速度が増し、スピードが落ちるのは平地に至ってしばらくあとです。

横浜市ハザードマップ

傾斜地の表土も降雨のたびに低地に向って毎回少しづつ流下し、低地斜面で再堆積していきます。新しく堆積していく土砂ですから、これは軟弱な地盤です。

急傾斜地では、表土が下方に落ちる自然の法則が24時間「待機」状態であります。

大きな降雨はその引き金となるものです。特に斜面の傾斜が30度以上になると表土が自然に崩れ落ちる危険が高くなります。

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だからこの災害危険の可能性の高い地域を、都道府県は「急傾斜地崩壊危険区域」と指定をして、ハザードマップなどを公開して、地域住民に注意を呼びかけています。

横浜市 建築局 土砂災害ハザードマップ

急傾斜地の高さが5m以上あり、傾斜が30度以上、崖崩れの被害想定区域とされる地域に、人家が5戸以上ある区域や学校・病院などに危害が生じる地域を法律で「急傾斜地崩壊危険区域」と規定します。

横浜市の丘陵のふもとの区

横浜市内の高台の多くは、地盤が乾燥して安定しているからけっこう地震に強いと言われます。同じ横浜市内で丘陵地帯でも、山の中腹部は「急傾斜地崩壊危険区域」に指定されています。

景勝地金沢八景として、「東海道」の要所として浮世絵にもなっている美観の景色で知られる金沢区には、横須賀市と連なる大きな丘陵地域があります。

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その丘陵地のふもと付近の大部分が「急傾斜地崩壊危険区域」に指定されています。

同じ「東海道五十三次」の「戸塚宿」であった、戸塚区も区内の多くが丘陵地帯にあり、一戸建て住宅が傾斜面にひしめき合って建っているのが、東海道本線戸塚駅を通過する時に見ることができます。

金沢区や戸塚区は、横浜市内や東京23区へ勤務するビジネスマンの重要なベッドタウンなので傾斜地であっても土地価格はかなり高額です。また、大都会への通勤圏内として賃貸物件も多いです。

東京~神奈川~静岡と結ぶ、東海道という古くからの街道を機軸に国鉄(現JR)や国道も作られたので、電車の駅などが丘陵地のふもとにあり、そこを起点に街が発展します。

なので、駅および東海道本線の周囲は一戸建て住宅とマンションで「ビッシリ」という言葉がぴったりなほど密集して埋め尽くされています。

横浜市もあまりに戸建て住宅が集中しすぎている事に危険を感じ、「急傾斜地崩壊危険区域」には、「横浜市建築基準条例第3条の2」による建築制限をかけています。

しかしマンション開発業者や賃貸業者から見れば、金沢区や戸塚区の人口集中は魅力ですから、急傾斜を利用した独特の建築方法でデザインの凝ったお洒落マンションを〈どんどん建築〉しています。

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駆け込み建築確認

 

そういえば、この三井不動産の傾斜マンション事件を受けて、〔これから建て替えるため解体準備中〕のデベロッパーは解体業者に〝予定前倒しで急ピッチで解体してくれ〟とせっついてるみたいです。

知り合いの解体・廃棄物処理業者が急激に仕事が増えて、人手が足りなくて、破格の給与で重機オペレータを集めています。

大手から流れてくる仕事が急激に増え、〈超急ぎが〉多過ぎて処理しきれないレベルらしい。

解体業者は数が少ないから、一時的に発注が増えるとパンクします。

三井都筑区のマンションが先日の話、それに先立って今年の春には住友不動産のマンションでも、同じ横浜市内で問題が発覚しました。

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普通の産業界では、「こうトラブルが増えると行政が新しい指針を出すから新規の受注はそれに合わせてゆっくりやろう」という考えがスタンダードです。

しかし、建設業界は〈逆転の法則???〉らしく、「規制が厳しくなる前に、とにかく建築確認まではとっておけ!」ってノリのようです。

だから、現在もう着工してる物件はいいけど、これから建てる物件は、規制が増える前に建築確認の段階までもっていってしまえば〈セーフ!〉になる・・・そんな感じじゃないかと。

これは、解体業者から「いきなし受注が増えた」と聴かされたことからの、勝手な想像ですが。「とにかく急げ!」だそうです。