自治体空き家バンク活用方針の転換期と空き家対策法
空家等対策の推進に関する特別措置法(空き家対策法)
今日の朝刊は全国紙から神奈川新聞など地方紙まで、ほとんどが「空家等対策の推進に関する特別措置法(空き家対策法)」が本日施行されたことをトップニュースにしてました。
絶対的に新築住宅建築や賃貸ニーズが減る中で、増え続ける空室をどうにかするのは、国の大きな課題であるのはリーマンショック以前から言われてきたことです。
そのわりに自治体レベルでは条例施行こそしてても、現実の対策は今ひとつ。神奈川県内においても各市町村の空き家バンクページでは、やる気なさがヒシヒシ伝わってくる感じ。
空き家バンクの物件価格は仲介不動産業者のいいなり
役所が行っている空き家対策は、市役所サイトに空き家賃貸や売買のページを用意して、そこに市内の空き家所有者から募集した物件を掲載していることがほとんど。
しかし物件価格は、所有者や仲介不動産業者のいいなり価格。空き家を解消したいから公的サイトで入居募集しているクセに、「定価で儲けを出そうとしている」物件がほとんど。
田舎暮らし専門業者が地方不動産価格を吊り上げた
むかしは田舎の空き家なんかだと、地主の農家と直接交渉して、シブい古民家と目の前の畑を合せて「1万円でいいよ!」みたいな太っ腹な貸し出しがほとんどでした。
売買の場合も、「10年も住んでなくてガタガタだから土地建物込みで100万円でいいよ」みたいなスカッとした話がゴロゴロしてました。
こういう田舎の「のどかな性格」につけこんで、「田舎暮らし物件専門の不動産業者」が爆発的に増え、地方不動産価格が吊り上り、のどかな田舎暮らしが不可能になりました。
不動産仲介業者をかませるから物件価格が高くなる
公的機関である役所の空き家バンクに民間業者の仲介を必ず介在させる「ホントの正当な理由」などないのに、どこの自治体も民間業者を入れています。放っておいても問題ないのに。
神奈川県に限ってなのか?田舎の空き家ほど安くない。むしろ、駐車場など高いくらい。
足柄と東京早稲田のアパートが同額家賃でいいか?
足柄上郡のとある「町」の空き家バンクをみたら、風呂・トイレ共同のアパートで賃料月額・家賃3万円。田舎なのにクソ高っけー、と思ったら、更に管理費5千円。だから借り手がいないんでは?
風呂トイレ共同アパートなんて、大都会東京の早稲田や本郷辺りに残る、早大・東大を応援する築古アパートの賃料だって3万円くらい。ほんとです。これは江戸っ子地主の「学生応援価格」だけど。
所有者と入居希望者がダイレクトに交渉できれば、足柄山地でワンルームなんて1万円か2万円の話です。(現に神奈川以外の地方(田舎)には1万円台のワンルームがザラにあるし)
空き家バンクの活用方針を転換しないと空家法は無意味
この空き家対策特別措置法の施行を機に、「単に所有者と購入希望者・入植希望者をマッチングさせて、あとは『放って』おく」スタイルにしないと、空き家価格が下がりません。
空き家価格が下がらないということは、空き家バンクも機能しないということです。サイトだけあっても中身の物件に魅力がなければ・・・・。
空き家価格を買いたい人、借りたい人のモチベーションが上るような価格にするためには、直接取引が一番いいはずです。宅建業者をかませずダイレクト取引にしないと。
役所のサービスなんだから全て無料じゃないと意味がない
田舎の広報など見てると、「犬の里親募集」とか、「不要になったベッドあげます」とか、無料(仲介手数料が存在しない)で取引できるやり取りの場はまだ残っています。
不要になったベッドを処分するのにも、ヤフオクだったら金かかる、役所に廃棄物処理依頼しても金かかる―でも、広報では無料で欲しがる人を探せる―これは双方のメリットです。
空き家バンクもそんな感じで、直接取引にすればいいはず。契約のさいの法律問題だけクリアしてあげれば。民間仲介だって、悪徳業者がやればトラブルのだから。
なんでもかんでも、「まずは民間委託」、「民業圧迫したくない」っていうのは、体裁のいい公務員の怠慢でしょう。
今回の法律施行では、行政代執行できる危険空き家の判断基準が「斜めに倒れかかってると見てとれること」らしいです。これも、斜めになるもう少し手前でなんとかしたほうがいいんじゃないかと。