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大黒柱の起源とインドヒンドゥ教のシヴァ神

大黒柱とは?

wikipediaには、「大黒柱」という単語の解説がなくて、「柱」の意味の中に、「家の中心となる太い柱を大黒柱・大極柱という」「家族の主を指す比喩」などと記述されています。

柱 - Wikipedia

その他、建築辞典、住宅キーワード集、住まい用語事典などでも、ほとんどが「wikiの『柱』ページ」同様、「大黒柱=建物の中心・軸となる太い柱」と説明されています。

由緒ある大きな古民家以外は、そうとう築古の和風建築でも「いわゆる大黒柱」自体が見当たらないので、「床の間の化粧柱(床柱)を指して大黒柱」と呼ぶ大工さんもいます。

和風建築と家の中の護り神

筆者も、「大黒柱=軸柱・床柱」以外には想像したこともありませんでした(興味もなく)が、最近ふとしたことで大黒柱と大黒天の曰くを教えてもらいました。

昔のある程度裕福な家では、建物屋内のさまざまな場所に神様を祀って(護られて)いました。(今の新築住宅でも、トイレの神様に「烏枢沙摩明王」のお札を貼っているご家庭があります)

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大黒天―厨房の神様をキッチンに祀る

家に祀られその家族をさまざまな場所で守護する神々の中で、「大黒」さま(大黒天)は食物の安全を守る厨房の神様でした。

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同じ七福神で大黒さまと見分け難い「恵比寿」さまは漁業の神様。鯛を抱えて釣り竿もってるのが違いです。

(しかし「袋を持ってる」という点では布袋さまも大黒さまと類似。なんで七福神の立案者はもっと明確な特徴をつけなかったのか?)

大黒柱の起源―台所が土間にあった頃

昔の家(築古という意味じゃなく時代的に古い建造物)は、台所を土間に配置していました。台所の土間は、お勝手・勝手口ともいい、出入り口に近い場所。

かまどで調理するのに薪など火を使うから、家の真ん中では、家丸焼けの危険性があり、台所を外側に配置するのは当然でした。

大黒天さんは、厨房の神様として、その土間の台所のキッチン近くの柱に飾られ祀られたそうです。

家の壁際の柱だから、もちろん一番太い柱じゃない。昔は一番太い柱を指して、大黒柱と呼んでいたのじゃなかったようです。

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近代和風建築と古民家と大黒柱

時代が移って、建築様式も近代和風建築に変わり、家の中の柱の数も減っていきました。

近代和風建築 - Wikipedia

居住空間を快適にするために、多すぎる柱は邪魔。柱が減って代りに「梁」の組合せ的な建築技術が進歩しました。

一個の住宅内の柱を減らした分、梁が大きくなり、残りの柱で梁を支えられるよう場所によって太い柱も必要になりました。

この頃の住宅は現存している建物は少なく、今でいう「古民家」はもう少し後の話です。

この「太い柱」は、四間取の戸建て住宅でいえば、玄関土間の台所と、その隣で接客用の「広間」と呼ばれる座敷部屋の間に設置されました。

元々、台所のトコの柱を大黒天さま用の柱としてたため、台所と広間の境の柱を大黒柱となったそう。太い柱を大黒柱と呼ぶ習慣になったのは、この頃だそうです。

シヴァ神が台所の神様

ちなみに大黒天は、密教の伝来と共に日本に伝わりました。

日本では福福しい好々爺。発祥のインドではヒンドゥー教のシヴァ神の生まれ変わりマハカラ。三面六臂の悪そうな顔をした軍神、戦闘の神様です。

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この軍神東南アジア土産のTシャツでよく見かけます)がどう間違って台所の神様になったのか・・・竈(かまど)で火をたく、火災を護る?・・・ようわかりません。