富士塚や築山を造り、崇め奉る信仰深いガーデンリフォーム
風呂場・トイレ・キッチンリフォームが大半
ビフォーアフターの過去放送リストを見ると、テレ朝の番組タイトルのライターさんの苦労がにじみ出て見えます。
現状の住まいへの不満からリフォームや建替えを希望される方の多くは、風呂場・トイレ・キッチンなど水回りの利便性向上と「安全性能」確保が目的です。
だから「裸で庭を駆け抜ける家」「客に裸を見られる家」など風呂場・恥ずかし系と、「天井から子供が落ちてくる家」「屋根から父親が落ちそうな家」など崩落危険系という2大リフォームジャンルが放送されることが多いです。
数あるリフォーム番組で視聴者さんから批判・揶揄されるのは「余計な工事やっちゃった系」です。
大改造!!劇的ビフォーアフターの関連記事
リフォーム番組の宿命―匠・建築士さんへの批判
「我が家のリフォーム物語」や「完成!ドリームハウス」も批評されますが、ビフォーアフターは老舗番組だけに視聴者もよくみてます。批判も人気の証、と考えて面白リフォームを続けて欲しいものです。
これも、ほんとの放映タイトルは「不釣合いな庭」なのに、検索すると「廃材が埋められた庭」ってキーワードで出てきます。匠はインタビューに「見晴らしが丘を作ろうと思った」と答えてました。
富士塚という縁起のいい日本庭園の開運造園術
見晴らしが丘というのが、どこの丘陵地帯?なのか分りませんが、リフォーム前の日本庭園からすると、ほんとは「富士塚」を造作してあげたかったんじゃないか?と思いました。
富士塚というのは、お寺や神社さんが、縁起のいい富士山を庭園に取り入れて運気を呼ぶ、昔ながらの造園術です。一般家庭でも広大な庭園をもつ地主さんの邸宅なんかには、あります。
2009年の放送時ガーデニングリフォームを請負った匠のプロフィールには、建築士ではなく造園業者さんとなっています。もう少し、予算があったら見事な「築山(つきやま)」に仕上がったかもしれません。
庭に築山するのは、庭園内に起伏をもたせて景観として華やかにする意味と、日本人ならではの富士信仰・山岳信仰によって、都会生活の中にも自然をとりいれたいという意味合いがあります。
銭湯なんかに富士山が描かれたりしてるのも、そういう運気と景観と山岳信仰にもとづくと言われます。
「富士塚」を初めて庭園造りに取り入れたのは、植木職人の高田藤四郎、1779年のことです。それ以前も富士山型の築山はありましたが、各部に信仰的な意味を持たせ体系化したのが高田氏だったそうです。
ホームセンターで資材買い込んで富士塚にリフォーム
富士塚で大切なのは、塚のてっぺんに祀る鳥居というか祠です。これが富士山頂上にある浅間神社を表し、他の築山との差別化になります。
他に富士山型の築山ではなく、富士塚であるという証を示すとすると、山頂近くの烏帽子岩。これは、富士講という信仰の祖、食行身禄の印だから大事です。
画像の富士塚では見当たりませんが、中腹に小御嶽社(お中道)、ふもとには道案内薬の猿田彦を祀る里宮を作り、洞穴もこしらえます。胎内に入り生まれ変わるという意味です。
その他、鎮火(火災予防や家内安全)のために、富士塚の麓には「お猿さん」、全体的に「蛇」を祀ります。猿は「庚申」、蛇は脱皮をするから「不死身(富士見)の象徴」。共に十二支です。
猿は石や木彫りの置物を置きますが、蛇は画像の中の矢印で指している頂上へ向う、つづら折りの山道、この曲がりくねった参道が、とぐろを巻いたヘビを表しています。
富士塚の要件を挙げだすとキリがありませんが、大まかにはこんなところです。
画像の富士塚は、神社さんにあるほんとに登るための小山ですが、庭に作るジオラマというかミニチュア富士塚には、てっぺんの鳥居、つづら折りの山道、麓の猿人形、くらいを模したら充分でしょう。
ビフォーアフターのガレキを積み上げた築山も、「土台だけ作らせた」と思って、細かいパーツをコーナンとかドイトとかのホームセンターのガーデニングコーナーで買ってきて、DIYで作ったら楽しそう。
2~30万円も買い込めば「超豪華な富士塚」ができるでしょう。つか、芝生は半分っくらい剥がして、観葉植物を植えたほうが栄える気もします。