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大聖堂物語―聖なる建築物をつくった人々

大聖堂物語―聖なる建築物をつくった人々

「大聖堂物語―聖なる建築物をつくった人々(創元社)」という本をブックオフで買いました。これが、かなり面白い内容です。

図説 大聖堂物語―ゴシックの建築と美術 (ふくろうの本)

1000年くらい昔の世界のキリスト教の大聖堂の建築について、フランスの国立ルネサンス美術館の学芸員、アランエルランドブランダンブルグ氏が取材調査した書籍です。

昔の大聖堂を建築する時にも、建築家が施主である司教さんとかに自分の設計デザインをプレゼンテーションしていたようです。昔は紙に設計図を書かず、石や粘土や木等で建築模型を作ってプレゼンしていたという。

f:id:builders:20150624213505j:plain(これ、建築模型)

「ヘーッ」と思ったのは、紙に書くと…当時の紙は「羊皮紙」という羊の皮を剥いでそれに文字を書いて残してたようですが、メチャ高くついて割りに合わなかったからだそう。

だから、プレゼンなどで建築物について説明をするさいは、建築模型をササッとこしらえて、それで建物の細部の設計の打ち合わせなどをしていたようです。

f:id:builders:20150624213506j:plain(現物の大聖堂)

建築も紙の文化も、日本は独特の様式で来た

現在では、当たり前ですが紙のほうが安いので、紙に設計図や仕様図を何十枚も書いて、説明記録し、建築模型を作ることのほうが大きいプレゼンじゃなきゃ珍しいのに、逆だったようです。

これは想像ですが、羊一匹からきっとA3用紙で4枚くらい「羊皮紙」取れたらラッキーくらい、歩留まりが悪い「紙」だったんじゃないでしょうか?縮むだろうし。

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日本は森林と豊富な水資源に囲まれた豊かな国であるので、住宅にも障子や襖などに贅沢に紙を使用した世界に類を見ない建築様式の伝統があります。

紙を作るには、大量の水を使用しますが、わが国は水資源に事欠かない時代が続いたので、紙作りの文化が発展しました。地方の大河川沿いに製紙工場が多いのもその名残でしょう。

でも、外国は森林豊富な地域こそ珍しい。「荒野」のほうが多かったわけで。例え樹木があっても、製紙するための大量の水が勿体なかったから、木を彫刻して建築模型作るほうが安上がりだったんでしょう。

中東なんかだと、木が生えていることさえ稀で、砂漠ばっかり。でも岩石だけはふんだんにある。だから、何かを記録する時、石に書いたわけです。

たぶん、ですが。

石もそう硬い石ばかりじゃなく、塑像や文字を記すのに適した柔らかい石もあるけど、そこに文字を書くにはノミなどの刃物で石を削らなきゃならない。

日本や中国などの漢字は、昔、筆で書いてたから手が汚れないように「横文字」の時は、左から右に文字を書きます。

でも石にノミで字を書くときは利き手にハンマー持って、反対の手でノミ握ってトントン彫り進むから、漢字とは逆に、右から左に文字が流れる。だから、アラビア語とかは右から左に書き進むのだそうです。

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上記の、「大聖堂物語」においては、建築家は建築模型でさんざんプレゼンした後、最後のクライアントとの詳細な建築契約の詳細を記す設計図だけ、羊皮紙を使って書いたそうです。

羊皮紙というのは、1000年以上保存が利く記録媒体として、西洋の宗教文書から大昔の「地図」まで、かなり今現在でも残っているようです。海外にはですが。

昔の大聖堂の建築設計図兼「契約書」もたいていは羊皮紙に書かれて、聖堂の司教室などに保存されてるんじゃないかと言われています。