住宅金融支援機構の欠陥住宅に関する責任と中間検査
住宅金融支援機構の融資審査
住宅金融支援機構のフラット35住宅ローンで家を建てると、公庫の融資審査が厳しくて欠陥住宅にならないと世間ではよく言われます。
最近「住宅金融支援機構の住宅ローンで建てた家が欠陥住宅だった。業者も訴えたいが甘い審査した公庫も訴えたい」という人がいました。
公庫融資で家を建ててる人の数はハンパじゃないですが、欠陥住宅トラブルになってる人も多い。でも、公庫を訴えたい人は初めて見た。
「自動車を銀行ローンを組んで買って、欠陥によって事故った。銀行(または車検場)を訴える!」って言ってるのと近いです。
公庫の住宅ローンの融資基準
公庫の住宅ローンの融資基準は厳しいし、この標準仕様書に合せて設計図も書くから、法令順守されてるように見えます。
でも、設計図はまともでも実際の合否を調査するのは「中間検査」。この検査は公庫から委託され、役所の職員さんがいらっしゃいます。
この時点では、建物は半ばできてて基礎や躯体はよく見えません。間柱や梁が出ているとしても正確な数まで数えません。
職員さんは一通り眺めて、明らかに筋交いが入ってないのを発見したら注意します。でも強制力があるわけではありません。
新築住宅の建築時の中間検査
中間検査は、その戸建て住宅が公庫の融資基準を満たす構造耐力かより、そもそもちゃんと存在するかを見にきます。
役所の職員さんの仕事はちゃんと建物があり、工事中でもう半ばまで施工が済んでると公庫に報告するのが仕事です。
そして公庫は、欠陥かどうかより、工事が進んでいるかが、膨大な申込みのある融資の日程を遅れなく消化するのが仕事です。
間違ってはいけないのは、公庫は金融機関だということです。万が一貸し倒れた時の保全に金貸す担保の評価を調査する、それが全てです。
欠陥住宅への融資で公庫に落ち度はない
その家が欠陥住宅でも公庫側にはなんの落ち度もなく、逆に貸金の担保が欠陥住宅だったら担保割れして公庫も損をした被害者になります。
なので、冒頭の「公庫を訴えたい」と言ってる人の発想は見当違いなわけです。
「弁護士紹介してくれ」と相談されたので、危なっかしいから「弁護士に着手金払えるか?」と聞いたら「後払い」を言ってきました。
もちろん、1円にもならないし、知り合いの弁護士にも迷惑をかけたくないので、紹介するのは断りました。
行政の建築検査にも落ち度はない
ところで、建築確認を出し、検査済証を発行した行政の検査機関にも責任は問えません。
建築基準法令では、建物が法令の構造基準を遵守して施工するか工事監理者である建築士に保証させるために、国家資格を与えています。
そのための国家資格だから、行政は、建築士法にもとづいた設計図書を信用せざるを得ません。疑ってたら建築行政がストップします。
なので、建築士の責任はどこまでも追及すべきですが、行政へ責任を求めるのもまた、お門違いというものです。