建替え診断室

建替えか?リノベーション・リフォームか?神奈川~東京の中古住宅・査定事例を紹介!

空き家改修プロジェクトと田舎の空き家価格

芝浦工大の「空き家改修プロジェクト」という学生企画サークルが、学生専用のシェアスペースを運営する株式会社賢者屋主催の「学生団体総選挙」というイベントプランのコンテストでグランプリを取った、というプレスリリースがありました。

www.atpress.ne.jp

芝工の子達の活動記録(facebookログインが必要)

空き家改修プロジェクト Facebook

 

コンテストを主催した賢者屋という会社も学生企業のようで、イベント自体が若々しくてキラキラしてます。
上記リンクの【空き家改修プロジェクトのフェイスブックページ】を見ても、芝工の学生たちが静岡県東伊豆町稲取の空き家を改修して、住民のコミュニティスペースにコンバージョンしていく過程が、やたら楽しそうで、充実した学生時代で羨ましいなー、と思います。

昨日、総務省国勢調査で【大正9年の国勢調査スタート以来、初めて『日本の人口』が前回調査時の人数より下回った】という報道をマスコミ各社がしてました。
5年前の前回調査より96万人も減少したそう。これからは更に、団塊の世代がボケたり死んだりしていきます。この世代も持ち家率が8割くらい。
毎年、十数万件くらいづついらない空き家が相続されてくわけですが、新築住宅着工件数も【毎年80万件?】以上とかあるそうだから、空き家が1千万件台になるのも遠い話ではないでしょう。

www3.nhk.or.jp

東京都隣接県の空き家率

統計によれば、山梨県が空き家率ダントツ首位を守り続け、その他は関西以南・四国などが空き家率の高い県トップ10を占めています。
東京都や東京隣接県である神奈川・千葉・埼玉は、「空き家率の低い県」の上位です。

統計局ホームページ/平成25年住宅・土地統計調査(速報集計)結果の要約

山梨も東京都の奥多摩地域と隣接して、中央自動車道で気軽に遊びに行けたりするワリに空き家率が高いのは、なんとなく想像がつきます。

新宿から立川・八王子方面へ走るJR中央線に、中央特快大月駅って駅があります。
大月駅は、笑点でお馴染みの三遊亭小遊三さんが育った大月市にあります。
大月市は中央特快の始発駅だってことで、無理やり「東京通勤圏」とされ、宅地や建売が大規模分譲されたのですが、中央特快で大月まで延びてるのはは日に3本くらいしかなくて、基本は東京都高尾駅止まりなワケです。

山梨県内には、大月のように無理やり「東京通勤圏」としてイケイケで分譲販売されたエリアがけっこうあります。

この十数年、過去に住み続けながら長距離通勤の生き地獄を味わった人たちが、どんどん死んだり介護施設に入ったりで、空き家になった家を相続するモノ好きな子がいないから、山梨県全体が空き家率1位をキープしているんじゃないか?

――想像ですが、そう、外れてもいないでしょう。

例えば、埼玉県の浦和・大宮なんて、「実体験的な繁栄感」からすると名古屋市なんかより全然栄えてるし、タワーマンションも乱立して住宅価格は都内並みのエリアも多数ある人気エリアです。
埼玉は全体的に地価も高いし、空き家割合も大したことないのですが、その中で【秩父】や【入間】など「ギリギリ都内通勤圏で行けそう」として開発分譲された地域が、空き家率を上げてるようです。

この秩父や入間や飯能空き家率が上るのも、山梨の空き家現象と同じような【都心通勤圏になり切れなかった事情】によるのだと、勝手に考えています。

空き家対策法と空き家買取

空き家対策法により、去年から空き家を放置して置けなくなりました。
更地より空き家として建物を残しておく方が、固定資産税・都市計画税の節税になっていたというのも去年までの話です。

マンションも中古価格の【買取評価】は年100万円近くづつ下がり、購入後20年もたって、これ以上下げられないというところで下げ止まり、あとは買取業者の気持ちでイロをつける程度が中古の築古物件買取の現状です。

www.mlit.go.jp

戸建て住宅の場合、築20年もすれば建物価格は査定0円です。
更地を想定した土地代から建物撤去費用を差し引いたものが中古住宅の買取価格となります。
そして、築10年ほどの物件であっても空き家として2~3年放置されていたような物件は、築20年と同じ扱いで、空き家買取の価格は土地代金のみの評価になります。
空き家になると、人が住んでいる時より建物の傷みが激しくなり、劣化のスピードも速まるからです。
よって、空き家を相続したら、東京都内や観光地のど真ん中以外の立地であれば、高く売ろうなんて欲張らず、捨て値で【売り逃げ】ることこそ、かえって得をしたことになる利に敏い方法と言えます。

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東京都内の場合、リノベーションかけて色んなタイプの賃貸ビジネスに転用することが可能なので慌てて売り急ぐ必要もないかも知れません。
また観光地の場合も、【民泊用】にコンバージョンする等して活用できる方法もあります。
冒頭の芝工の企画サークルの子達が改修プロジェクトで参画している、東伊豆町稲取稲取海岸や港など観光名所があり、彼らの活動が町の活性化・観光資源に役に立つでしょう。

www.travelvoice.jp

ただ、ほとんどの【地方の空き家】は上記の山梨県の例のように、ほとんど観光資源がない自治体のうえに「田舎の『市街地・住宅街』に建ってる空き家」ですから、景観も地味で、民泊用には役立たないハズです。