サブリース・家賃保証をネタに新築アパートの建築を受注する業者
平塚市の学生用ワンルームアパート建築
知人のまた知人の湘南地主「Yさん」が、むかし横浜の工務店(というかデベロッパーというか)に口説かれて、平塚市や茅ヶ崎市に相続した土地のうち平塚駅から徒歩10分圏内の土地に学生ニーズを期待してワンルームアパートを10年位前に建てたそうです。
Yさんへ土地活用を勧誘した工務店の営業マンは、当時仕切りに土地を遊ばせておくことの無駄、固定資産税他のリスクを滔々と語り、アパート建築後は営業マン自身が「頑張って入居者集めに奔走します」とまで言っていたそうです。
結局、同じデザインのアパートを2棟建てて、入居者の募集はその工務店および子飼いの藤沢や茅ヶ崎の物件を扱う賃貸業者に任せたそうです。
新築で高利回りを得られる賃料では入居者集まらず
しかし、最初に目論んでいた家賃価格では入居者が(新築なのに)1年間も集まらず、工務店営業マンがうたっていた「建築費その他を差し引いた後に残る夢の高利回り」は本当に夢としてあきらめざるを得ない状態に。
平塚市の賃貸相場―築古アパートで投資ならわかるけど
結局、「近隣のワンルームマンションよりチョい安」という、すごく損な賃料に改訂し、それでも平均6割という低い入居率でここ10年を過ごしてきたそうです。
平塚市は工場街として発達し、神奈川県内では川崎の京浜工業地帯に次ぐくらい工場労働者のかたが暮しています。独身者も多いので賃料は平均して安め。築古の中古アパート物件を投資用として買って、やっと元が取れる地域感です。
格安な賃料相場より安い家賃では投資にならず
隣接する茅ヶ崎市や二宮・大磯は戸建て住宅が多く、住宅街と工場街としてでは一概に賃料相場を比べようもありませんが、独身ワンルームが多い分、ワンルーム賃料は「湘南地域としては格安」です。
その格安料金より更に「チョい安」なのですから、何のために建てたのか・・・・。
知人にまず相談し、私は調査的なことを依頼されてYさんを紹介されましたが、丸っきり工務店任せであったため、今までの物件管理状態も把握していなかったようです。所有物件は平塚駅近のやつだけじゃないから、気にならなかったのかも。
ところでその工務店は管理を委託されつつ、入居者の募集をしてたのか?
平塚市の学生用ワンルームアパート建築
これから色々と調査していくことですが、工務店側はずっと「学生向けの入居アプローチを欠かしたことがない」と言っていたそう。ここ10年、要求するたび入居学生が集まらない「理屈」を言い続けてきたそうです。
そして、最近は「提携してた専門学校が閉校してしまって生徒が…」等という理屈を言っていたそう。提携してた、つまり学校の人事課や総務課などに賃貸あっせんの張り紙などしていた程度の意味だと思います。
工務店も横浜の業者でYさんも私も私の知人も横浜住まい、賃貸業者は藤沢。平塚は良くいくけど地元の学校のことなど知らない。そこで、工務店が言ってたという専門学校をググリました。
その学校さんのホームページが出てきました。
「神奈川ビジネスカレッジは平成26年閉校しました。」
生徒集まらないご時勢なのかもな、と思いながら、そのHPのサイドバーにあった、別の学校名をクリック。
工務店の言うことは、嘘でした。
神奈川ビジネスカレッジを運営している学校法人鶴嶺学園さんは、平塚市内にいくつか学校を経営していて、神奈川ビジネスカレッジを運営していた自社ビルで、別のスクール事業を展開していました。
他にもウェディング学園とか神奈川社会福祉専門学校とか日本ヒューマンセレモニーという学校とかを色んな場所で幅広く運営しています。
閉校して、生徒が集まらないなんて、うそでした。
「ビジネスカレッジ」だけが、ニーズがなくなって閉校しただけで、生徒需要の多い冠婚葬祭や福祉は「専門学校」として機能してる!!!
ということが、この学校法人のHPを見れば明々白々にわかります。
工務店の担当者は、どこかで神奈川ビジネスが閉校したのを知り、ネットでトップページの「閉校しました」だけを見て、トップページの印象のみで、鶴嶺学園という法人自体が平塚から撤退したと「早とちり」したのでしょう。
平塚市の学生用ワンルームアパート建築
つまり、この専門学校には、生徒入居の斡旋依頼どころか、職員の誰一人とも面識がなかった、と言えるんじゃないかと思います。知り合いいたら、こんなすぐバレるウソは言わないでしょう。
そもそも、東京の御茶ノ水や渋谷近辺の専門学校なら、田舎の高卒の子が親元離れて一人暮らしで通学するでしょうけど、神奈川の学校だったら、だいたい地元民の子供が自宅から通うでしょう。
静岡東部の子供が横浜の専門学校に通う場合だって、一人暮らしより実家からの通学のほうが安くつくと言います。
湘南地域は、都会だけど学生アパートのニーズは思うより低い。
ここら辺の事情も工務店は知らなかったのかも知れない。
知人経由で依頼されたことは、「別件」であり、こんな「入居者探してたってのが嘘だった」なんて情報、どうでもいいのですが、いい加減な業者もいるものです。
一括借上げサブリース方式で家賃保証
今は新築一戸建ての需要が減っています。むかし建てた家を解体し、建替えしたり、再建築不可の物件だったらリノベーションで新築そっくりにリフォームしなおしたりという風にニーズが移っています。
しかし、新築の建築物を作るほうが儲かるし、土地開発をやってきた人たちは、ちまちま一件一件の家を建て直しするより、グロスでドカンと儲けたいと思うのかも。
だから、地主さんを見つけては「一括借上げのサブリース方式で家賃保証しますし、入居者一杯にします、苦労はさせません」なんて口説きまくるわけです。
でも、実際は「建築費で稼ぐだけ」が目的で、後は野となれ山となれ、という業者がほとんどです。
平塚市の学生用ワンルームアパート建築
それで、地主が破綻して、地主が切り売りする小規模物件を不動産投資家のかたが安く仕入れて、斬新な経営方法を編み出して、高利回りで回し、そんな新興の不動産投資家が新たな地主になっていく、と考えると経済は回ってるなーと思います。
しかし、このサブリース・家賃保証を売り文句にアパート建てさせるだけの建築屋は、行政が本気で規制すべき時期にきてると思います。
どう考えても、これから先の将来、小規模アパートなんて新築して「経営&利回り」レベルでまわせるわけがない。